日食以外にもいろいろあったことの報告

3 ドロミテ街道の巻


2-2 最低と最高の味の巻より続く

8月9日(月) 快晴

 さあ、今日はいよいよ杉山氏が楽しみにしてきたドロミテ街道ドライブである。ドロミテ有数の山々を眺めながら、おっそろしくキツい山岳道路をめぐろうというものだ。

 朝食もそこそこに出発、コルチナを通過し、しばらく行くと、ああー、もうだめ、撮影だ!

*Tofanaを撮影するムシ

でもってこれがその画像

 これからいくらでも撮影ポイントはあるとわかっているのだが、つい車を下りてしまうのだ。しかも天気がいい! 青空にそびえたつ岸壁は、ほんっとに美しい。

 このときだ、道路脇の林のなかから大きなチャウチャウ犬を連れたカップルが現われた。あっ、この犬は昨日トレチメにいた犬だ。よしよし、今日はあの山を登るの? トレチメのところで書き忘れたが、自転車だけでなく、犬も何匹もトレッキングコースを歩いていた。こちらではゴンドラなどの乗り物もすべて犬可らしく、料金はどうなってるのか、とにかくどこでも犬を連れている。トレチメではバテている犬もいたが、このチャウチャウは平然としていて、とても頼もしい感じだった。

 さて、しばらく西へ行くと道は二つに分かれる。Falzarego峠(2105m)である。ここでまたもや我慢できずゴンドラに乗った。山はLagazuoiというらしい。

*とにかくすごいところにかかってるわけよ

 ゴンドラ一基で2752mまで登ってしまうのだ。うーむ極楽。

*Lagazuoi小屋の展望台

拡大図

歩きはじめる北沢氏

 さらにゆるい登りを歩くと2778mの絶壁のふちまで行ける。今日はあまり歩くつもりはなく、ドライブに大半の時間はとられてしまうはずなので、ゆっくりできないが、ちょっくら行ってみることにした。

よくまあこんなに岩山が

 思ったより早く十字架のあるところについた。はるか遠くの山々がシルエットになって見え、絶景だ。こんなに簡単に来られてしまって嘘のよう。

右側は絶壁で近寄れなかったのです

 下りのゴンドラから駐車場を見て唖然。どこかのバカ者が、我々の車の出口をふさいでとめようとしている! 冗談じゃないよ、と、ゴンドラの出口から走ってゆき、やっとその車をどかしてもらう。間一髪。

 ここから道はまさに山岳道路となり、カーブの連続。杉山氏は景色を見る余裕もなく?ハンドルを切る。

 このあたりでは大きな町、Arabbaでお昼にしよう。朝はやかったので腹ぺこだ。Pizzeriaに入ってメニューを見ていると、すごく無愛想なおばさんが来て「食事は12時からなの」と言う。えーっ、そうなの? またまたイタリアの常識に振り回される私たちだった。

 しょうがないから町を散歩する。ムシは用品店に入ってエーデルワイス模様のスカーフを買った。

*広場から見たsella山群

 やっと12時になる。でもあそこの店は無愛想だったからヤだとムシが主張し、別の店に入ってスパゲティなどを食べる。味はそこそこだったが愛想は抜群だった。今から思うと、あの無愛想な店のほうがおいしかったかもしれないなー。

 ここからは絶景で有名なPordoi峠まであと一息だ。しかし...ここで思わぬ事態が。

 Pordoi峠(2239m)からもゴンドラ1基で、北にそびえるGruppo Sella(Sella山群)の巨大な岩塊のとっかかり2950mまで一気に登れるのである。Sella山群は直径5km, 高低差500m以上の壁の集まりで、その異常な姿に見慣れてしまうと、大きさや高さの感覚がどんどん麻痺していく。

 さあ、車をとめてゴンドラへ...えっ、駐車場いっぱい...路上でいいや...え〜っ、路上もいっぱい! なんと言ったらいいのでしょうか、日本を出てから一度として見たことない無政府駐車状態で、ただでさえ狭く曲がりくねった道のすき間という隙間に車がいるのだ。擦れ違うのがやっとの状態では、場所があくのを待っていることもできず、車はずるずると峠を下り、やっと止められたとき、すでにゴンドラまで歩いて行ける距離ではなかった...サビシーッ。

*Pordoi峠下にて

 やっと入れたレストランの駐車場で記念撮影。左から北沢、ムシ、杉山。背景はSella山群(右)とSassolungoという極めつけ贅沢なもの。

 さあ、気を取り直して先に進もう。道は一度下ってから、ふたたび2244mのSella峠まで登ってゆく。杉山氏がしょっちゅうわき見運転をするので生きた心地がしないが、それほど景色はますますすごい。

道は続くよ岩もまた

 さて、Sella峠を少し下って、ここからは有名なSassolungoとその並びの岩山(五本指ことCinque Dita、Sassopiatto)の眺めがすばらしい。

*右がSassolungo

 眺めるだけでなく、写真の白いゴンドラリフト(二人乗り)で、Sassolungoと「五本指」の間の2681m Demetz小屋へ登るのだ。ここまで徹底的にゴンドラなどが整備されていると、さすがヨーロッパアルプス、あんたはエラいと言わざるを得ない。

 しかもそのゴンドラは、並んで待つなどということはほとんどないのだ。Pordoi峠は例外だったけど。

 このゴンドラはときどき、ふっと止まる。誰かが乗車にしくじったせいかと思っていたが、杉山氏が乗ろうとして転びかけたときも、全然スピードをゆるめもしなかった。絶壁のそばにぶらさがっているとき止まると、風の音がしてとてもこわい。

ゴンドラからみるSella

Marmolada山

 地上を離れて少しのあいだは、Sassolungoから崩れた大岩がごろごろしていて、岩登りの訓練をしている人も見えた。そこをすぎてぐんぐん登ると、白い氷河をいただくMarmoladaがSellaの向こうに見えてくる。

正面にはSassolungoが迫り、

その脇腹をこするようにのぼる

ほんとに岩すれすれなんだよ

 Demetz小屋では、外の展望台のベンチで甲羅干しをするイタリアのおばさんが怖かったが、天気に恵まれ、景色は最高だ。カフェでカプチーノなどを飲む。こういう小屋は家族経営なのか、子供たちがお手伝いしているのをよく見かけた。

 双眼鏡でMarmoladaの氷河を観察すると、おお、スキーヤーがいる! ここで、3台ある双眼鏡をとっかえひっかえして見え味くらべだー。こういうとこが星見会ですね。

登れなかったPordoiゴンドラ方面

登ってきたのと反対側の眺め

下りながら「五本指」を振り返る

 ここからはSassolungoを回りこむように下り、あとは帰り道一直線である。

Sassolungo東側

 途中からは初日に走った道路だったので、地図を気にすることもなく快調に走ったが、宿に到着したらもう5時半だった。ただ日没は遅いので、夕方がとても長く続く感じだ。

 今日はトレチメを回ったという村松一家と合流し、夕食の買い出しに行く。全員そろって宿で宴会だ。大量の肉とワイン、ビールを買い込み、たい子さんと分担して調理にかかった。

 それにしても、台所の設備の貧弱なことといったらない。皿やカトラリー、鍋は一応そろっているのだが、まな板はキャンプにもって行くような小さいやつ、包丁はアーミーナイフのほうがましみたいなプチナイフ一本きり。ろくな料理はできない。オーブンも電子レンジもないので、楽な料理もできない。ということで、たい子さんがお肉を調理しているあいだにムシはサラダとソーセージを担当。

 全員が広いほうの部屋に集まり宴会開始! 酒が入るといつもの星見の宴会になってしまう。山浦さん(とオランダ生まれの慶太郎くん)には悪かったが、日本事情に疎い村松夫妻にいろいろ報告しては爆笑、さんざん盛り上がったのだった。

 でもって当然のことに飲みすぎたー。

 続きは4 中休みの一日の巻へ(工事中)


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