My favorite Camera No.3

Posted: Wed, 13 Aug 1997 00:36:57 +0900
X-ML-Name: Canopus
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  みなさんこんばんは，野沢＠きつれがわ です．

この前のメール（発砲が原大演習の報告）では，漢字とカタカナの変な文体で失礼い  
たしました．‘観望会の興奮いまだ覚めやらぬ’状態だったので，つい勢いに任せて  
書き走ってしまいました．（ニヤニヤ顔で読んでくれた鍋田君ありがとう）
勢いに任せて，と言えばこのコーナーも然り，ですが…………
前置きはいいから早くやってくれ，との熱烈な？支持者が若干名居てくれるらしいの  
で，早速突入することにします．

       野沢＠古カメ党の  “思い入れのカメラ”コーナー③ ！！！

ニコン，ペンタと来ましたので次はどのメーカーをとり上げようか思案しておりまし  
たところ，ふと，当ＭＬの名称が目に止まりました．（今回はムシどのの御力は借り  
ずに済みました．）

  “Ｃａｎｏｐｕｓ” よくよく見ると   “キャノーパス”？

カメラ好きの方なら，もうお解りですね．
“カノープス”って“Ｃａｎｏｎ”と“ＯＬＹＭＰＵＳ”をくっ付けた造語だったわ  
けです？．
  というわけで，今回は“キャノンパス ＯＦ-１”の特集です，といきたいわけです  
が，そんなカメラはどこにもない！
そこで三回目の今夜は，シマシマさんと小田さんに敬意を表して“キャノンＦ-１”  
をとり上げます．あっ，もう一人，Ｏ氏にそそのか…………．
（菅原さん，それにオリンパス党の方々ごめんなさい．もし，４回目があったならば  
，いや６回は保証されたので次回はオリンパスにしますから）

  その“Ｆ-１”ですが，本題に入る前にバリエーションをさっとおさらいしときま  
しょう．
   Ｆ-１………… New Ｆ-１に対して旧Ｆ-１とも呼ばれた
                 （シマシマさんが使ってらしたのはこちらでしょうか？）
   Ｆ-１Ｎ……… Ｆ-１改，Ｆ-１後期とも呼ばれた．刻印に「Ｎ」の文字
                 はない．
                 旧Ｆ-１のマイナーチェンジ版．巻上げ角を小さくしたり
               ＡＳＡ 感度を広げる等の部分改良．外観は変わらず．
 New Ｆ-１……メカニカル＋電子制御のハイブリッド仕様でフルモデル
               チェンジ．安直に“Ｆ-２”にするわけにはいかなかった
               ので「New」を冠したが，それゆえに次期後継機の命名
               が困難となり，‘９６年惜しまれつつも生産中止になっ
               た，との説が極一部に有る．
               NewＦ-１と呼ぶがどこにも「New」の文字は見当たらない
               （小田さんとモンゴルへ行ったのがこれですよね？．）
（イオスはＥＯＳ-１，ＥＯＳ-１Ｎときたので，次は“New ＥＯＳ-１”かな？）

  初代Ｆ-１がデビューした時は物凄く興奮したのを覚えています．
キャノン軍にとっては待望のフラッグシップ機の登場で，これでニコンＦ２を迎撃で  
きると勇気付けられたでしょうし，ニコン軍は予想を超えた強敵の出現に浮き足立っ  
たかどうか知りませんが，いずれにしても７０年代初頭のカメラ界最大級の衝撃でし  
た．
  メーカーの力の入れかたも半端でなく，そのカタログは４０数頁に及ぶ豪華なもの  
で紙質が厚いこともありますが最近のニコンＦ５（３０頁弱）の３倍近い厚さです．  

＋６０℃から－３０℃でのテスト，１０万回の動的テストなど信頼性，耐久性につい  
ては特に熱っぽく書かれています．
クロームボディが普通で，ブラックボディは3,000円高というのが一般的だった当時  
，はじめからブラックボディのみで発売されたことも，いかにもプロ仕様といった感  
じでカッコ良かったです．値段はボディー現金正価78,000円，月賦定価82,100円とカ  
タログには書いてあります．（昔は，月賦定価？というのがあったんですね）
それから，これはカタログには書いてありませんが，「向こう１０年間は，部分的な  
小変更はあっても機構的なモデルチェンジはしない」とメーカーが約束した，とかい  
うのも話題になりました．事実，フルモデルチェンジのNew Ｆ-１が出たのは１０年  
後の‘８１年．約束は守られました．
偉い！メーカーたるものかくあらねば．
そして何年前のものであろうとも自社製品の修理は責任を持って引き受けるべし！．  
それが，造って売って，買って使っていただいているお客様への“感謝の気持ち”っ  
ていうもんやろが………．
カメラメーカーに限らず，近ごろの企業はお客様への“感謝の気持ち”を忘れとる．  

なにが「日頃から弊社製品を御使用頂きまして誠にありがとうございます」じゃい．  
ほんまにありがたいと思っとるんか，われー．
（き，き，切れそう．）
「一部の部品につきましては既に在庫が無くなりましたので，残念ながら修理をお引  
受けすることはできません」
残念だ？ そんなら部品造り直してでも修理せんかい！
「新機種ご購入の際は，弊社新製品○×○×○×○をご検討ください」
なにっ？，この期に及んでまた売ろうってえのか？ろくに修理もできねえくせしやが  
って！てやんでい，べらぼうめい！
（んー，もう辛抱たまらん． ‘プッチン’）

まあ，こんなことをメーカーに面と向かって言う人間はまずいない．いたとしてもほ  
んの一握りでしょう．少数は相手にしないのが鉄則のマスプロの世界．言っても無駄  
．諦めましょう．
別にメーカーの肩持つわけではないですが，いくら気に入ってるからといって古いカ  
メラを何十年も使われたら商売にならないわけで，いいかげん，新しいのに買い替え  
て下さいよ，と言いたくなるのも無理からぬことで………．

だったら，ぐっぐっと欲しくなる様なカメラ出さんかい，われー！
ＡＦはいらんでー．ファインダー覗いてピント合わせる楽しみ奪って，どこがおもし  
ろいんや．モードラもいらん．巻上げの仕事無うなって親指が泣いとるで，ほんまに  
．まあＡＥは許しといたる．補正が面倒でなかったらな．それから，プラスチックあ  
れはあかん，絶対にあかん．カメラゆうのはな，カネででけとるもんなんや．手に持  
った時ずっしりひんやりするもんなんや．

  んで，Ｆ-１なんですが，………んー，もうどうでもよくなっちゃた．
いかん！ここは気を取り直さねば．

私が所有しているのはセカンドバージョンのＦ-１Ｎです．前オーナーが結構使い込  
んだので，角の塗装が剥げてシンチュウの地金が出て来ています．Ｆ-１Ｎの塗りは  
とても上質でうるし塗りの様なブラックエナメルの塗装面と角々に顔を出すこがね色  
の地膚をみていると，それだけでもう，うっとりしてしまいます．どうやら私も“黒  
皮病（注①）”に感染したようです．

注① 黒皮病：旧型の黒いカメラを媒体として最近急激に広まりだしたウィルス性の  
伝染病．感染者の皮膚が黒くなるわけではなく，黒塗装の
    カメラに過剰に反応するようになる．重症になると，シルバー
    のカメラを黒色に塗り替えたりする．ライカＭ４のブラック塗装が
    発生源である，との説が有力．対処法は特に無し

巻上げは滑らかで，レリーズの感触もすばらしく，シャッター音もまた上質です．
手に持っただけで信頼感がじわじじわと伝わって来るような気がします．
最高級機とはかくありなん，を具現化したような，まさに“キングオブカメラ”
と呼ぶにふさわしい一台である，と断言してもいいでしょう．

しかし，それは“写真労働者”にとっては最高のカメラと言えるでしょう，と
但し書きを付けておきます．私のように体力も根性もない人間にとって，この
重量級カメラを使うことは“労働”と同意語です．仕事ならともかく，趣味で
写真を撮るのにあの大きさ，あの重さは勘弁して欲しい！

  というわけで，今回は「重いオレのカメラ」コーナーになってしまいました，
ユーザー様をはじめ皆様からのご意見並びにエピソード等をお待ちしています．

（あーあ，とうとう言ちゃった．Ｆ-１ユーザーに宣戦布告しちゃったみたい．
シマシマさん怒ってるだろうなあ……．小田さんはいつもの論法で反論して
来るんだろうなあ……）

「佐藤君，危なくなったら助けに来てね！」凛子