Posted: Mon, 1 Dec 1997 16:56:29 +0900
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野沢@長文メールは本家森田堂におまかせします、です。

      「だけど、“思カメ”だけは別よ、悟さん。」響子


      野沢@古カメ党の “思い入れのカメラ”コーナー No.6

前回の“思カメ”でお知らせしたように、私が、今、一番気に入って使っ
ている一眼レフ、「ペンタックスMX」を取り上げます。
今更言うまでもないのですが、お気に入りのカメラは他にもたくさんあり
ます。最近では、特に距離計連動機を使うことが多くなってきました。
これについてはいろいろと理由があるので、別の機会にゆっくりお話しした
いと思います。
以前どこかで書いたかも知れませんが、私のカメラ遍歴はアサヒペンタッ
クスS2スーパーで始まりました。(もちろん、その前に所謂“おもちゃカ
メラ”といったもので遊んだ経験はありましたが、本当の“カメラ”と言え
るのはペンタックスが初めてでした。)
寅さん流に言えば、ペンタックスで産湯をつかったようなもの。
ペンタS2の“パシャコーン”というシャッター音を子守り唄代わりに聴い
て育ち、わずか3年で柴又の旭屋を飛び出した私は、その後は長い間ニコン
党員として活動を続け、今はドイツ系ライカ同盟のシンパもやっております
が、私のカメラ人としてのルーツはやはり柴又、ペンタックスにあるのかも
知れません。
(御膳様も寅さんも既にこの世にはいないのですね.....嗚呼、合掌)

MXのシャッター音もまたペンタックス一族特有の“パシャコーン”という
懐かしい音色です。
“パシャコーン”“パシャコーン”
何と表現したら良いのでしょう、この心踊る様に軽やかで朗らかな“ペンタ
ックスサウンド”とでも呼ぶべきシャッター音を聴きたいがために、ついつ
いMXを使ってしまう私です。うちの御神体であるニコンFを差し置いて、
一眼レフでは稼働率ナンバーワンなのです。

“ペンタックスMX”を語る時、どうしても先に触れなければならないカメ
ラがあります。“思カメ”No.4で取り上げた“オリンパスOM-1”です。
(もし、OM-1が登場してなかったとしたら、MXはあの形では誕生してな
いでしょうね、きっと。)
一眼レフの超小型化に先鞭をつけたOM-1の登場を一番苦々しく思ったの
はニコンでもキヤノンでもミノルタでもなく、ペンタックスだったはずです。
ペンタックスはそれまで小型軽量一眼レフのパイオニヤとしてスクリューマ
ウントのSPシリーズで他社のカメラよりも小型軽量をウリにしてましたか
ら、ペンタックスとしてはオリンパスにお株を奪われてしまったわけです。
私達カメラファンとしても、OM-1の後を追ってペンタックスから超小型一
眼レフがすぐに出て来るものと期待してました。
しかし、MX登場はオリンパスM-1から4年後の1976年。以外に遅い感じ
がしましたが今から思えばこれでもペンタックスとしては精いっぱいであっ
たに違い有りません。というのも、バヨネットマウントに変更したKシリー
ズ登場が1975年6月ですから、OMショックの時は丁度KM、KX、K2
といった3KトリオとKマウントレンズ群を開発している真っ最中だったの
で、超小型軽量機種を開発している暇などあろうはずもなかったのでしょう。
それでもKシリーズ発売から1年半後の1976年11月にはMXと小型軽量レ
ンズ群を登場させたのですから、その時のペンタックス開発陣の意気込みは
驚異的だったと言えましょう。
小型軽量一眼レフの老舗・旭屋さんから新発売されたMXまんじゅうの第一
印象はというと、正直なところ私にはあまり美味しそうには見えませんでし
た(現物を手にしたわけではなく、あくまで外観写真を見た限りでは)。
どうしても先発の高千穂製菓OMまんじゅうの上品でスマートで美味しそう
な姿と比べてしまうせいか、何かちょっと安っぽくて壊れ易そうで華奢なイ
メージをMXに抱いてしまったのでした。
ただ、一年後輩の宮下くんが発売後間もないMXを買ったので、「あの宮下
さんが選ぶくらいだから、ひょっとしたら凄いカメラなのかも知れない」と
は、全然思いませんでした、っと。(がっかりしないでね、宮下くん。あと
で誉めまくっちゃうから)

その後ずっとこのカメラのことは忘れてましたが、OM-1とじっくり比較し
てみたいと思ったことと、3、4年程前、円高も手伝い国内より海外の方が
大分安かったことを理由に、アメリカの中古カメラ店から40ミリF2.8パ
ンケーキレンズ付きで購入しました。程度は新同で送料込み約46,000円。
日本で買うよりも大分安かった、実にいい時代でした。(空前の中古カメラ
ブームに沸く現在の国内市場では、ボディー・レンズ共品薄気味の人気商品
であるため、これ程の奇麗な品ならボディー40,000円・レンズ42,000円で
出ていてもおかしくないくらいです。)
この場合、“健常者”であれば「ラッキー!」とか言って喜ぶところでしょ
うが、“中古カメラ中毒症”が悪化して“新品カメラアレルギー”を併発し
ていた私としては素直に喜べなかったのです。だって、新同ですよ、新同!
傷一つ付いて無いし、底蓋には新品で売られていた当時のシールまで貼って
ある。まさしく“し・ん・ぴ・ん・ど・う・よ・う”......
これはいけません。勘弁して下さい、です。
以前に届いたニコンFE-2の時と同じで、とてもこんなのは使えません。
使ったらバチが当たると思い、早速、別のを注文してしまいました。
次に送られて来たMXは、店のグレードでは“EX++(エクセレントプラ
スプラス)”と表記されていた品で、日本なら“中古上”程度といったとこ
ろでしょうが、実際には結構奇麗なブラックボディーでした。まあ新同では
ないから、これならまずは安心して使えそう。
というわけで、今日まで使用して来た私なりのインプレッションを述べてみ
たいと思います。それには、永遠のライバルOM-1と比較してみるのが解り
易いですね。
まず、デザインですが、MX発表当時写真で見て、OM-1に比べてあまりス
マートに思えなかったのは、軍艦部からペンタ部分にかけてのデザインの違
いに起因しているものと思われます。OM-1の気品に満ちた小さなペンタプ
リズムカバーは、まるで軍艦部から頭の先だけをちょこんと出している様に
も見えますが、MXはプリズム部分全体をそのまま軍艦部に載せてしまった
感じで、OM-1よりオデコが広いデザインとあいまってよけい頭でっかちに
見えてしまうのです。かと言って全体の寸法的にはMXが大きいわけでは有
りません。底蓋からペンタ頂部までの高さはほとんど変わり有りませんし、
軍艦部カバーまでの高さではMXの方が5ミリ近くも低いのです。このこと
によってペンタ部分の大きさがより強調されて4頭身のデカ頭に見えてしま
うのです。一方のOM-1はまるで肩パッドを入れてるようで正に八頭身美人。
この辺の違いはMXとOM-1を一緒に並べてみると一層はっきり解ります。
全体の印象としては、OM-1が山の手のお嬢様(それもプロポーション抜群
のミスなんとか代表みたい)とするなら、MXは下町のちゃきちゃき娘、と
いったところでしょうか。
(若い人は知らないでしょうけど、昔“下町の太陽”という歌を唄っていた
  のは、あの寅さんの妹さくら役の倍賞千恵子でした。)

葛飾柴又旭屋K衛門の4番目の娘であるMXちゃんも、本音としては高千穂
家の令嬢OM子さんのように上品で、かつナイスバディに生まれてきたかっ
たのだろうけれども、旭屋の家系特有の親しみやすく愛敬のある顔つきをそ
のまま受け継ぎ、小柄でとっても明朗快活な性格だったので、すぐ上の三人
の姉達に代わってあっという間に旭屋の看板娘になっちゃいました。
そうそう、この3人の姉達と言えば、それはそれは不幸な娘達でした。
「(マウント以外は)変わり映えしない」「(どこにも)可愛らしさがない」
「(だから、だれも)買わない」の3K、旭屋の“3K姉妹”と世間から陰
口を叩かれてましたからねえ。生まれて来るのが少しばかり遅すぎたのでし
ょう。あと5年早く生まれてたら、もう少し幸せな運命が待っていただろう
にと悔やまれてなりません。(結果論ですが、旭光学はスクリューマウント
をいささか引っ張り過ぎた。SP-Fだか-IIだかで開放測光にした際にマウ
ントを変更すべきでした。複雑な機構で開放測光に対応させたところで、そ
れは一時凌ぎに過ぎず、バヨネットマウントへの変更は時間の問題だったこ
とはメーカー自身よく分かっていたはずです。でも別な見方をするならば、
大成功をおさめたSPシリーズの多くのユーザーのために、少しでも長く旧
マウントを存続させたかった“旭光学の良心”と言えなくもないです。)

さて、葛飾小町として一躍人気者になったMXちゃんでしたが、少し気にな
る点もあったのです。ちょうど年頃だったせいか、いささかダイエットのし
過ぎで、撫で肩の華奢な体つきになってしまったことです。
耐久性については分かりませんが、巻き上げの始めの部分で少し引っ掛かる
とか、シャッタースピードダイヤル等の操作感にやや上品さが欠けるように
感じるのは、多分、このダイエットが原因だと思います。
OM-1よりボディー高さを5ミリ近くも低く押さえたのは、ちょっとやり過
ぎだったかな?と思える場面も有ります。小さ過ぎて、普通に構えると右手
の小指が余ってしまうのです。でも、これは持ち方を変えれば(底蓋を小指
で支えれば)問題有りません。ワインダーを付けるのも良い解決法と言えま
す。(元々、超小型軽量だからワインダー付けたってそれほどかさ張らず重
くも感じないし、手動巻き上げの引っ掛かり感も気にせずに使えますから。)
じつは、この約5ミリのダイエットこそ、MXちゃんの“女の意地”と言え
る部分ではなかろうか?私はそうにらんでいます。
OM-1とほぼ同寸のボディ幅、これは、35ミリ判横走りフォーカルプレー
ン機としては限界に近い寸法なのでしょう。小型カメラの始祖とも言えるバ
ルナック型ライカより短くすることなど許されざること、とも言えます。厚
みについても同様です。よって、OM子さんより高さをどれだけ低く押さえ
られるかが、‘女のバトル’の注目ポイントであったわけです。
「たとえ1ミリでも、あの子にだけは負けたくないわ!」ってね。
数字上は逆になりますが、現代の女性がバストサイズを競うのと似ています。
腕立せ伏せやタンベルを持ち上げたりして胸部の筋肉を鍛え過ぎるのは逆効
果かも知れませんが、所謂“寄せて上げて”のプラナーじゃなかったブラジ
ャーを着けたり、上げ底をしてごまかしたり、最後にはシリコンを埋め込む、
っていう手もあるのですが、これは見てるだけでは分からなくとも触わると
分かっちゃうらしいです。とにかくもう、ナリフリ構ってる場合じゃない。
女の意地なのです。
最近では、巨乳ちゃんのための“胸がスリムに見えるブラ”というのが発売
されたようですが、「なんて勿体無いことするんだ!」と御嘆きの貴兄も多
いことでしょう。せっかく立派なおっぱ.......
(まっ、これくらいの“色収差”は残して置いていいですよね。)
MXちゃんは姑息な手など使わずに、きっと正攻法で行ったはずです。あの
旭屋の娘ですものね。でっ、努力の甲斐あって5ミリ近くも縮めて来た。

読者の中には、そんなに小さくしてどうすんの?と首を傾げる方もおいでに
なるでしょうね。それじゃひとつずつお答えして参ります。
まず、耐久性が心配な方へ:
確かに、MXは耐久性をウリにしていたカメラではありません。でも、北
極点やエヴェレストへ持って行くのでない限り必要充分である、と私は思
いますけど。
それでもご心配なら、遥かに重く大きな、他のカメラをお使い下さい。
次に、手が大きくて、小さいカメラは操作性が心配な方へ:
小さいと言っても、あのペンタックス・オート110ほど小型ではありま
せん。それに、人間の、‘物の大きさ’に対する適応力というかラチチュ
ードみたいな許容範囲は絶大ですからすぐ慣れてしまいます。
  それでもご心配なら、遥かに重く大きな、他のカメラをお使い下さい。
どうしても小さなカメラは好きになれない方へ:
何も言うことはございません。
どうぞ、遥かに重く大きな、他のカメラをお使い下さい。
旭屋自慢の六七弁当でしたら、ご満足頂けるものと存じます。

冗談はこれくらいにして、真面目に書きます。
“小さい”ということは、持ち歩いて使うモノに対して我々が本来抱いてい
る“ゆめ”みたいなところがあります。
これが男性の持ち物だったりすると話は別です。あまり小さいのは........
そう、靴べらとかサイフとかはあまり小さいのは困りますよね。
違うモノを想像した方には御気の毒ですが、それはコンプレックスですね。
失礼、今度は本当に真面目に書きます。
よく新製品で“世界最小”というのがキャッチフレーズで用いられるのは、
このことばの効果を期待してのことです。
わずかな数字上の差なんて、実際に使ってみるとそれほど意味をなさないこ
とが多いのは誰でも承知してます。
“最小”で重要なのは言ってみれば精神的な部分です
精神的なものゆえ、そこに崇高な“志”というのが存在していると我々はす
ぐにクラッと来てしまうのです。
カメラの場合、特に35ミリ判カメラにおいては、“最小”とはすなわちウ
ェッツラーで生まれたバルナックのカメラの“単純にして崇高な志に帰る”
ことを意味するので、殊のほか感動してしまいそこにロマンまでも感じてし
まうのです。(ライカが初めから小さかったのは、設計者オスカー・バルナ
ックが当時の大きなカメラを自由に持ち歩けるだけの体力がなかったから、
という説がある)
なんだか、自分でも何言ってるのか分かんなくなって来たけど、要するに、
35ミリカメラは元々小型軽量な点がウリなのだから、耐久性や機能性向上
とかの錦の御旗を振りかざして大きく重くなるというのは本末転倒というか、
初心を忘れているとでも言うべきか。で、ここはあまり欲張らないで諸性能
は程々に押さえて、余計な機能は省いてシンプルに徹する。これが35ミリ
カメラの生きる道なのではなかろうか。
大体そういうことですので、この話はここらで止めにして、MXに付けるレ
ンズの話題に移ることにします。
ペンタックスMXに一番お似合いのレンズは?
これはもう、40ミリ・パンケーキレンズをおいてほかにはありますまい。
正式名称は「SMCペンタックス-M 40mmF2.8」といってMレンズシ
リーズのなかの一本です。当時、旭光学はMとAの二つの交換レンズシリー
ズをラインナップしてくれてました。光学系は同じものが多かったと記憶し
てますが、コンパクトなMとやや大きく豪華そうなデザインのAという二本
立てでした。この40ミリ・パンケーキは当然Mのみで、まさにMXのため
に生まれて来たレンズ、と言えるほど薄くコンパクトな設計になってますか
ら、MXに付けるとまるでボディーキャップの様にフィットして、デザイン
的にはもちろんのこと機動性においても抜群のマッチングを見せてくれます。
普通のレンズを付けた一眼レフカメラの姿は、レンズがモッコリ出っ張って
て、とてもグロテスクに見える時がありますよね。これは、レンズのことを
“鏡玉”、それを略して“玉”と呼ばれることからもわかるように、男性の
股間をイメージしてしまうからなんですね。で、このモッコリ君、有事の際
ならいざ知らず、出番でない時はでしゃばらないでいて欲しいもの。
40ミリを付けたMXなら、サポーターを履いたスッキリ・スマート下半身。
ちょっと脱線してしまいましたが、レンズの出っ張りが少ないためカバンに
もスーッと入って携帯性抜群。
これはまさに、「一眼レフのライカlll-fエルマー沈胴付き」なのです。大き
さも重さもほぼ同じ。持った感触にしてもlll-fに迫るほどのフィット感があ
ります。
私は先程、MXはOM-1に負けたくないためにダイエットした、と書きまし
たが、実は、MXはもっと大きな志を持っていた、そう思っています。
それが、この「一眼レフのライカになること」ではなかったのでしょうか。
ペンタックスMXというカメラは、その志において、事実大きさにおいても
一眼レフとしてはバルナック型ライカに最も近づいた、記念すべき偉大なカ
メラだと思うんです。
“小さな巨人”と呼んでいいでしょう。

ただ、発売されてから既に20年も経ってますから、メンテナンスのことが
気になりますが、残念ながらメーカーでは部品を必要とする修理は受け付け
てくれません。以前、新宿のサービスステーションに行き、MXワインダー
の修理を依頼したら断られました。応対してくれたオネエサンがとても感じ
の良い美人だったので、おとなしく帰っては来ましたが、もし、美人の女性
でなく男性だったら、ひと暴れして警備員に取り押さえられていたことでし
ょう。ああいった部署に奇麗な女性がいる理由がなんとなく分かりました。
しかし、悲観してはいけません。ペンタックスはやってくれました。
現在、かつてのMXの志を継いで出て来たカメラがあります。ペンタックス
MZ-3を中心としたMZシリーズのカメラ達です。
AF、マルチAE、ストロボにワインダーまで内臓させたフル装備で、全て
マニュアル操作のMXとさほど変わらない大きさで発売してくれたのです。
ここまでしてもらったら買わなければ申し訳ないところですが、カメラに“実
用”以上の何かまで求めてしまう私としては、やはり金属ボディーにしても
らわないと.....
いまクラカメが流行っているというのはこのあたりにも理由があるわけです
から、次に出るMZ-1では、プラボディーにシルバー塗装で済ませるんじゃ
なくて、是非とも金属ボディーで出して欲しいものです。
個人的にはチタンの必要性は感じて無いので、できれば真鍮にクロームメッ
キでお願いしたいところなれど、それは無理よと仰せなら、アルミでもいい
ですから、とにかく、触わってひんやり、持ってずっしり、の金属ボディー
を希望します。
で、MZ-1の予想スペックの方は、MZ-3が4000分の1秒ですから上位機
種であるMZ-1は当然8000分の1秒以上を搭載して来ると思われます。も
し、いまだに現役のMFフラッグシップ機“LX”の後継機の役割も担うこ
とにでもなれば、機能や強度アップのためにやや大柄になってしまうかも知
れませんね。でもそれは別シリーズですよ、とのご意見も御ありでしょうが、
8000分の1秒や余計な機能など必要ではない私にしてみれば、スッペク的に
はMZ-3でも充分過ぎると思ってますので、ここではMZ-1を予想するの
は止めにして、“私の理想のMZ”像を勝手に描いてみることにします。
35ミリ一眼レフカメラのひとつの理想を追求したMX、その後継機とも呼
ぶべき、私が望む新型MZは、輸出専用機MZ-5N(MZ-5の改良型で、
MZ-3を2000分の1にした機種)をベースにして、まあ、4000分の1秒が
当り前に思われている今日ですから、妥協してMZ-3ベースでも良い事にし
ましょう。これの外装を金属にして“持つ喜び”を付加したカメラ。金属鏡
胴の43ミリF1.9リミテッドにあやかり、“MZ-3リミテッド”とでも
名付けておきましょうか。これこそ正に現代版MXと言えるのではないでし
ょうか。
理想のMZが発売されたら、私は、ライカM3を売ってでも資金を捻出して
購入してしまうかも知れません。
また、「新型MZを買おまい会」を設立して会員集めに奔走するかも分かり
ません。まっ、あてはないのですけどもね。
小田さんは「そんなちっちゃいのいらん」と言うだろうし、さと....、あの人
は先日孫子の代まで使えるという不死身カメラを買ったらしいし、山根くん
もニューFM2買ったばかりで断られることは明らかでしょ。
すると、可能性あるのは現MXユーザーのカツヤくんに杉山くんあたりかな、
などと思いを巡らす「買おまい会」会長でした。
あっ、もうひとり大事な人を忘れてました。あの方が買わないで他にいった
い誰が買うというのか、という人。
かつてMXの素晴らしさをいち早く認めすぐさま購入した、カメラを選ぶ眼
力においては星見会一の呼び声高い、カメラ選びの達人、み・や・し・た・
こ・う・じ、宮下@甲府くんでーす。
彼は性格がすごく“いいひと”ですから、ここまで言われてダメって断れる
ひとではないのです。丁度、思い出のカメラMXは何処かになくしてしまっ
たらしいし、MXの再来といえる新型MZが一番似合うのは宮下くん、あな
たをおいて他にいません。さあ、私と一緒にユーザーになりましょう。ヘジ
テイションは無しよ。
ま、まだ発売されたわけではなかったですけど、あのユーザー思いの旭屋さ
んのことだもの、きっと出してくれると信じて待つ事にします。

例によって勝手な事ばかり書いてしまいましたけど、ペンタックスMXに寄
せる私の思いの何分の一かは御伝えできたものと存じます。

カメラって、本当にいいものですね。
それでは次回をおたのしみに マル


  野 沢 昌 一


© Copyright 1997, Shoichi Nozawa