Posted: Fri, 19 Sep 1997 16:38:10 +0900
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野沢@きつれがわ です。

佐藤@柏くんwrote
>そういえば, ペンタックスから43mm F1.9 というパンケーキレンズが
>発売になるようですね.
>クラシックな外観でなかなか面白そう.
>野沢さんが反応するかどうか楽しみです.

ハイ。例によって、良いところに........
(くどいですね、もうこれは止めにしときます。)

この種のレンズを、私は最も好物としておりまして
最も感じ易い部分でもあります。
まさに“つぼ”をぐりぐり刺激されてしまったようなもの。

そういうわけで、急遽、突入させていただきます。

野沢@甘党の
            “思い入れのカメラ”コーナー 番外編

      テーマは      「パンケーキの心だー」


[パンケーキとは]

そもそも、この“パンケーキ”とはいったい何なのでしょう?
私は、所謂ホットケーキを想像していたのですが、
今日たまたま来ていた友人によると
フライ“パン”で焼いたケーキを総称してこう呼ぶのでは、とのこと。
なーるほど、そういう切り口もあったわけか、わたしゃ、てっきり
食パン、あんぱんの“パン”だと信じていました。
まあ、元々の意味はどうであれ、レンズにおいては薄べったくてコンパクトな
レンズキャップの代用になるような一眼レフ用のものを指すようです。
この呼び方は、やはりアメリカあたりで始まったものでしょうか。
4年程前から購読している、例の“シャッターバグ”誌で

    Pentax - M  40 / 2.8 Pancake  Exc++  $199

といった広告をよく見掛けました。
(最近徐々に値が上がってきましたが、日本よりはまだまだ安い!)


[パンケーキの種類]

いま中古市場で見られるパンケーキはざっと下記ようなところです。

  “旭屋”の「SMCペンタックス-M 40mm F2.8」

“ニコン製菓”の「GN ニッコール オート 45mm F2.8」

  “小西六兵衛商店”の「ヘキサノン AR 40mm F1.8」

  “コンタックス本舗”の「テッサー T* 45mm F2.8」

“ケーキの高千穂”の「ズイコー 40mm F2.0」OM用と
                    「EズイコーオートS 38mm F2.8」ペンF用

“リコー食品”の「XRリケノン 45mm F2.8」と「同 28mm F3.5」

こうして並べてみると、かなりの種類が出回っていることになります。
“観音堂”と“千代田フーズ”からは発売されなかったのか、と残念に思われた方
のために一言申し述べさせていただきますと、
“観音堂”からはキヤノンペリックスの時代に「FL 38mm F2.8」という
ペリックス専用でうしろが出っ張っていたものがあったようです。
ミラーアップすれば他のカメラ(F-1等)でも使用可能なはずでが、これはまず
見掛けることはないでしょう(もし見つけたら、ご一報ください)。
ミラーアップといえば、レトロフォーカスになる前の焦点距離20mm前後のレンズ
は、皆うしろが出っ張っていたのでミラーアップしなければ使えなかったですね。
“ニコン製菓”の21mmF4や“観音堂”の19mmF3.5などがその代表格で、
カメラに装着した姿はまさに“パンケーキ”そのものですが、これは当時の光学技術
の面から必然的にそうなったまでで、“操作性は多少犠牲にしても携帯性を優先する”
という“パンケーキ”の崇高な志からは外れるため、リスト外といたします。
“千代田フーズ”の方では、スペック的には「MDロッコール 45mm F2」と
いうのがあったのですが“パンケーキ”と呼ぶにはちょっとだけ大きかった。
これを仲間に入れてしまうと“ニコン製菓”の「Aisニッコール50mmF1.8」
やEシリーズの「ニコン E 50mmF1.8」なども入れたくなるので、ここはやはり
リスト外といたします。
リストアップされたレンズのうち“コンタックス本舗”と“リコー食品”の製品は
現行商品です。


[パンケーキのルーツを訪ねて]

“操作性は多少犠牲にしても携帯性を優先させたコンパクトな設計”

こう定義するならば、欧州ドイツのウェッツラー村で生を受けたエルマー50mmを
まず思い浮かべる人も多いはずです。(一眼レフ用ではないのですが)
このレンズは沈胴式で、撮影するには先端をオ○○○ンを摘まむ如くにそっと引っ張り
出し、時計方向に30度ばかり回して準備完了。仕舞う時はその逆。
バルナック型のボディに収納した姿は、まるでボディキャップそのもので、
“コンパクトなカメラ(含レンズ)は美しい”という私の政治理念?にぴったりです。
エルマーはテッサータイプと言えなくも無いので、明るいF値を望まずコンパクトな
サイズに仕上げるテッサー型パンケーキのルーツはこのあたりにありそうな気がします。


「各社パンケーキについて」

先程のリストに上げた物についてひとこと

  “旭屋”の「SMCペンタックス-M 40mm F2.8」
        薄さはまさにパンケーキ。リング幅が小さいので操作性(ピント調節)はX。
        中古市場では人気高いためかなり高め(美品\40,000前後)。
        MXに付けた時の姿は、もう惚れ惚れいたします。

“ニコン製菓”の「GN ニッコール オート 45mm F2.8」
        少し厚いが操作性は○。これも人気高いためかなり高め(美品\40,000前後)。
        絞り羽根枚数、コーティング有無、Ai改造有無によりバリエーション豊富。
        専用フードも高い(8千円位から)
  
  “小西六兵衛商店”の「ヘキサノン AR 40mm F1.8」
        これも少し厚いが操作性は○。開放値F1.8は立派。
        豪華なレンズ構成で巷の評価は高い。
        現行品以外では最も買い得(1万5千円位から)
        アメリカならもっとお買い得(50ドル以下でも買える)

  “コンタックス本舗”の「テッサー T* 45mm F2.8」
        現行品。中古では2万2千円位から。
        リング幅が小さいので操作性(ピント調節)はX。

“ケーキの高千穂”の「ズイコー 40mm F2.0」OM用と
                    「EズイコーオートS 38mm F2.8」ペンF用
        どちらも“幻”のレンズ。私は5年間で1度も現物を見た事がない。
        たとえあっても美品なら6万円は覚悟か(ペン用はもっと?)
        どなたかリーズナブルな価格で譲ってくれないかなあ。欲しい!。

“リコー食品”の「XRリケノン 45mm F2.8」と「同 28mm F3.5」
        現行品。リング幅が小さいので操作性(ピント調節)はX。
        他と比べると造りが安っぽい(まあ、値段も安いけど)ので
        所有欲が湧いてこない。でも、広角の28mmはちょっと気になる。

なお、描写性能に関してはここに書けるほどじっくり味わったわけではないので、
そのうち全部揃ったら食べ比べしてみたいと思います。
ただ、他と比べてテッサーの発色はすごい!と言えます。


最後に、
こんど発売になるという“ペンタックス43mm F1.9”について

前のメールにも書きましたが、一般向けというよりマニア向けの匂いがします。
まだ詳しい事は全く知らないのでなんとも言えませんが、
多分AFでMZ-3、5用だと思うので、この際、操作性などはどうでもよいから、
思いっきりコンパクトにして欲しいと思います。でも F1.9ではそんなに薄くは
できないでしょうね。
とにかく、早く見てみたいものです。

以上、パンケーキフェチの野沢でした。では。


© Copyright 1997, Shoichi Nozawa