ブルガリア隊日食遠征記

-黒い太陽に踊ったり叫んだり-

報告:近藤弘


 石川勝也('82)と近藤('84)他2名はSW協賛ブルガリア日食ツァーに参加しました。

 

 なぜブルガリアを選んだのか、というと

1.西ヨーロッパは晴天率が低い

2.といってトルコは暑い

3.そしてSW協賛だから

あたりが理由です。

 

 出発前日の8月7日、開成高校に集合して装備の点検と練習(!)をおこないました。機材は、

1.普通の写真三脚

 シャドウバンド用ビデオと全景撮影用広角カメラ

2.Mark−X(モーターなし)

 日食の連続撮影(広角で開始から終了まで、と中望遠で皆既の前後)

3.Mark−X

 ビデオカメラによる皆既の撮影(部分中は10分おきにコマ撮り)

4.P−2

 FC−65+エクステンダーによる撮影と200mm+2倍テレコンカメラ

5.EM−1+ミューロンμ210+エクステンダ

 カメラで皆既中のプロミネンスを狙う

以上5台を4人で操作、しかも3人は日食初体験、果たしてうまくいくのか???

 

 これを梱包すると、預け入れが6個、機内持ち込みのカメラバッグ4個+各自のデイパック4個

1人当たりの持ち込み重量&個数制限を軽く超過している..

 

 8月8日、ブルガリアツァー総勢55人は成田を出発、予定通りモスクワ着。

時差6時間だが、夏時間なので1時間時計を進めている上にモスクワは北緯55度なので、日没は午後9時30分。

泊まったホテルは縁起良く(?)コスモスホテルでレストランもギャラクティカなどど名前がついています。

 夜11時過ぎにやっと暗くなり、北緯55度の北極星を見に行くと西の空低く北斗七星を従えて、かなり高いところに見え、夏の大三角は天頂からずいぶん南に寄って見えています。

モスクワの町はかなり明るく、3等が見えるかどうかでしょう。

 

 翌日は雨。気温16度。ひえ〜、寒い。

今日の目玉はモスクワのスペースコントロールセンターで(映画に出てきたNASAのアポロ管制室とほぼ同じです)民主化前は観光客が入ることなど考えられなかったところです。

ミール(MIR、ロシアの宇宙ステーション)の管制をやっていてちょうどロシア上空さしかかったミールとの間の無線交信を聞くことが出来ました。(当然ロシア語です)

宇宙との交信の割には、端の方のおじさんが電話機で話しているだけなのがちょっと変でした。

 

 8月10日はブルガリアに移動。

北部のドブリッチという町からバスで30分、見渡す限りの広大なひまわり、トウモロコシ畑の中の小さな町にガガーリン農業学校があります。

(関連は不明ですが、食堂にガガーリンの写真が飾ってあります。)

 

校庭はアスファルト舗装で、翌日に備えて南北線を3本引きましたが日なたの気温は40度近く、明日の暑さが思いやられます。

おまけにホテルにはエアコンが無く、窓を開ければ西日が直撃!!

 

 夕食後、東京天文台の渡辺先生がコロナ見の秘訣を公開。

要するに、目が暗順応するには5分はかかるのでダイヤモンドリングを見てしまうと、コロナが良く見えない。というわけで、皆既5分前になったらアイマスクをして外を見ないで目を暗いのにならしておく。

ダイヤモンドリングの誘惑に耐え、いよいよ皆既となった時にアイマスクを外せば、バッチリコロナが見られるという算段です。

 

 8月11日いよいよ日食当日。朝から雲一つない快晴。

しかし、隊長の石川氏が胃痛で不眠、絶食状態となり大ピンチ。

ともあれ、9時頃からセッティングを始め、ひととおり組上がった頃現地のテレビ、新聞の記者が大勢で取材に来て、急遽石川氏が記者会見(?)することに。(翌日の地方紙の1面に載りました。)

日本から38万円(年収3年分相当)払って来たのが驚異だったようです。

 

12時45分(現地夏時間)カウントダウンとともに日食開始。

部分食は淡々と順調に経過。

 

14時10分、月の影の通過、シャドウバンドの出現、ダイヤモンドリングに続いて皆既突入。前日の秘策を実行した人たちが一斉にアイマスクを外し、歓声(絶叫?)が沸き起こる。

初めての日食の近藤はシャドウバンドを見ているうち、ダイヤモンドリングを撮り損ない、しかも電磁レリーズはロックするし同架していたF−1は皆既と同時に電池切れで動かなるしで、大パニックに陥りました。

石川氏はミューロンでプロミネンスを連写。

真っ暗い空に浮かぶ白い輪になった太陽を眺めていると、再びダイヤモンドリングに。(また撮るのを忘れた..)

 

こうして、2分21秒の皆既は終わりました。

皆既が終わっても興奮は冷めず、みんなは虚脱状態。

一息ついたところで万歳三唱。日本人だな〜。

 

15時32分、無事、太陽は丸くなったのでした。

 

夕食後は感想交換会、ロビーのテレビを占拠してビデオ上映会、

そしてホテルの屋上でペルセ群観望。

田舎町のくせに(失礼)パチンコ屋のサーチライトみたいなやつがグルグル回っていて邪魔でしたが、数個の群流星を見る事が出来ました。

 

 翌12日はブルガリア観光、13日にモスクワ経由で

14日に帰国しました。

 

さて、写真の出来はいかに??

結果を知りたい人は、スカイウォッチャーを買ってください。


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