日食以外にもいろいろあったことの報告

2-1 霧のミズリナ湖の巻


1 オーストリアでぞろぞろの巻より続く

8月8日(日) くもりときどき晴れ

 とにかく早起きして、それから考えようということで、前夜は寝た。4時起床、コーヒーをいれ、眠いけど、とにかく朝食をすませる。曇っているが望みはありそうなので、絶対にはずせないポイント、Misurina湖とTre Cime di Lavaredo一周コースに出かける。

 朝の道はしーんとしている。やはりバカンス中は朝寝なのだろう。そう、われわれ日本人を除いては。この日程のあいだ、何度「ああ、やっぱり日本人は勤勉だな」と思ったことだろうか。

 雲がどんどん流れていて天気はくるくると変わる。昨日来た道を途中からCortina d'Ampezzo方面へ折れると、急に景色が変わる。ミズリナ湖への道に入ると、前方に朝日を浴びた岩山が! 全員「おーっ」と叫んでしまう。これから、これでもかこれでもかと見ることになる絶景のはじまりだった。

朝日のあたる山Cristalino

 しかーし、ミズリナ湖畔に着くとあたりは深い霧に...話にききガイドブックにも載っている景色はどこにもないー。しかもすごく寒い。すぐトイレに行きたくなる。持って来た防寒具をきこみ、うろうろするが、すぐ車に戻ってしまう。この車には「外気温表示機能」があり、それがずっと11度くらいである。

 霧が晴れるのではないかと1時間くらい待つが、全然すっきりしないので、諦めてトレチメに向かう。

途中の池から見えたトレチメ

 有料道路(シリングで払ったのでちょっともめた)を通り抜け、駐車場に入るころには晴れてきた。出発点の小屋Auronzo(2320m)で、ムシの最後のリラを使って地図を買う。そう、おカネがなかったので、コーヒーも飲めずに、午前9時、トレチメ一周トレッキングに出発だ。

トレッキングを始める一行

 しばらくは道は平坦だが、息もつけない絶景また絶景で、カメラをしまう暇がない。

ミズリナ湖(右下)を見下ろす

光る山浦さんの現場監督

 道端には高山植物が咲き乱れ、谷間にはアルプスマーモット(見た目は大きいネズミ)が遊んでいる。

 じきにLavaredo小屋(2454m)に着く。トレチメそのものはずっと進行方向左側にそびえているのだが、全然フレームに収まらない巨大さである。なんていうか、地面から「にょっきり生えてきた」ような岩塊は圧巻。

これが南側から見たトレチメ

 ここからコースで最も高いLavaredo峠(2454m)に向けて、トレチメの3つの峰のうち、上の写真の一番右側のCima Piccolaを回り込みながら登る。さすがにちょっときつい。すぐに息が切れて、そうかここはけっこう高地なのねと気付く。

Lavaredo峠にて

峠からDrei Zinnen小屋方向

 峠はとっても風が強い。私たちの前後をずっと歩いていたイタリア人の若者3人組が座っているのが上の写真に写っているが、この人達は、とてもデカく、体力ありそうで寒さにも強そうで、ひっきりなしにしゃべっていた。

峠から見たトレチメ 主峰に雲

 そのあとはジープがごろごろ通る道をしばらく下り、また登って、Drei Zinnen Hutte(イタリア語ではLocatelli小屋)へ(Drei ZinnenはTre Cimeのドイツ名)。これでコースの半分だ。途中、自転車(マウンテンバイク)が何台も追い越していく。こんなところを自転車で!ジープも通っているとはいえ、片側はすごい崖なんだよ。

 この小屋も鞍部に位置するため風が強く、寒い。おカネがないので、水を飲み、ムシが西友で買って来たアーモンドチョコなどの非常食を食べる。真正面にそびえるトレチメは素晴しい。

左からCima Piccola, Cima Grande, Cima Ovest

 帰り道はここから、コースで一番低い2200mくらいのところまで下り、峠を2つ越えてAuronzo小屋に戻ることになる。このへんから、擦れ違う登山者が増えてきた。我々とは反対回りコースの人達だ。"Hello!"と言っても返事はドイツ語だったりイタリア語だったり、様々だ。"Chao!"とか言ってみたりしたが、最後はほとんど「ちわーす」で済ませていた。

無数のハイキングコースがある

 低いところは湿原のようになって短い草が生えている。「ウエールズだったら絶対羊がいるね」などと言っていたら、牛の糞が落ちていたのには驚いた。

反対側の峠からDrei Zinnen小屋を振り返ったところ

 このへんから天候が悪化、雨がぱらつきはじめた。皆無口になりひたすら歩く。急に疲れが出てきたのがわかる。駐車場が見えたときはほんとうにくたびれていたが、何とか雨具を出すような本降りになる前にたどり着いた。午後1時を過ぎていた。

 おなかがすいたよ、とにかく銀行、両替所などがあるところへ行かなきゃ。

 続きは2-2 最低と最高の味


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