皆既日食 ハンガリー編

走行距離往復1000キロ、ああ、アウトバーン20時間


8月11日(水) 雨のちくもりのち晴れ

 言うまでもなく日食当日である。私(ムシ)は前日8時に寝た。起床は1:30なのだ。

 浅い眠りのなかで雷の音。雨も降り出した。最悪だー。

 目覚ましがあっちこっちで鳴って起きる。もうここSillianに来て以来っつうか日本を出て以来、ほとんど化粧もしてないしパックもしてないから、着替えに時間はかからない。コンタクトレンズを入れるのが面倒なだけー。

 しかし今日はもうひとつ任務がある。インターネットで衛星写真の雲の画像をダウンロードすること。昨日ためしてみて、Yahooのページでリンクボタンになっている小さい画像だけは落とせることがわかった。

 なにしろ機材はDOSモバイルギアなのだ。白黒画像になってしまう。

 ゆうべの画像ではヨーロッパに雨を降らせていた巨大な雲は北東へ去り、オーストリアは晴れの部分に入りそうだった。しかし、予報は全域で「曇りやや晴れときどき雨ときに雷」。悩んだ結果、いちおう天気のよさそうなのは東だ、ということになっている。しかし東にはでかい雲がある...

 コーヒーだけ飲んで、出発だ。ちなみに、ここオーストリアのコーヒーはとてもうまい。スーパーで適当に買った粉でも、いわゆるヨーロピアンな味だ。

 別荘村の入り口で村松一家と合流。村松氏開口一番画像を見せろという。しばし検討。例の巨大雲の後ろに、別の雲が生まれて育ってきているようだ。これが今の雨なのだろう。やばい。オーストリアやドイツはだめだ。全員に緊張が走るなか、ムシは半分寝ながら考えた。

 「間に合うのか。雲から逃げられるのか? ま、バクチのようなもんだで」

 東へ、行けるところまで行くということになったらしい。夜中のほとんど無人の道を、できるだけ飛ばすぞ、という勢いで村松家のBMWがゆく。その後を、杉山氏運転のオペルが続く。こちらの道は本当に本当に危ないところ以外ガードレールがなく、ぼやんとした赤い反射鏡のついた柱があるだけだ。しかも街灯は町のなかしかない。右側通行でハンドルを握れるのは杉山氏しかおらず、他のツアーメンバー(山浦氏、北沢氏、ムシ)は彼に命を預けているわけだ。しかも雨が時折激しくふきつける。

 にもかかわらずムシはぐーぐー寝ていたという一部証言はさておき、われわれはいつしか、アウトバーンへと突入したのである。(オーストリアのアウトバーンは速度制限がある)

 ガソリン補給やトイレ休憩をしながら進み、夜がしらじらと明けるころになっても、なんとまだ、雲の下にいるではないか! 晴れ間も見えるものの、遠そうだ。 Grazの少し先のSAで朝飯しながら地元の新聞を買う。このところどの新聞も日食でもちきり。今日も朝刊一面は日食予報、やはり東ほど晴れそうだ。

 ここで、よし、ハンガリーをめざそうということになる。入国できるかどうかはわからないが、だめもとで行ってみよう。

 アウトバーンを下りて、国境へとひた走る。もう8時だ。すでに6時間経過。

 

 続きは国境で冷や汗の巻


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