概要
ポータブル赤道儀に組み合わせられる、比較的安価(でもないかな)でコンパクトなオートガイドシステムを組んでみました。
Stick PCと呼ばれるコンパクトな PCに Lubuntu 16.04LTSを載せ、QHY 5L-II-Mを INDI + PHD2 guidingでドライブし、離れたところから Wi-Fi経由で RDPを使ってスマートフォン(や PC、タブレット、Mac)で操作・モニタできます。電源は 10,000mAHのモバイルバッテリで、赤道儀とこのオートガイダーを一晩連続稼働可能。(結露防止ヒータ用にもう一つ使っています。)
完成に至るまでには事前の調査不足から余計な回り道をして試行錯誤を繰り返したので、経緯をメモとして残してみます。
ふつうに Windowsが走る Stick PCを買えば何も苦労はありませんが、あえて Linuxで似たようなことをやりたい方の参考になれば幸いです。
コンセプト
- 望遠レンズ(135mm超)で 3分程度の露光を多数繰り返し歩留まりを 90%以上確保したい。
- ノートPCを使いたくない。その心は「光害源にもなりかねない液晶モニタを撮影機材の近く(==屋外で結露や霜などの悪条件でもある)に置くのは避けたい。」
- 電源をモバイルバッテリだけでまとめたい。かつ、冬場でも一晩は無停止で連続稼働してほしい。
- 光が出る操作は必要最低限とし、なるべく撮影機材から離れたクルマの中などからできるようにしたい。
- ケーブルは必要最低限におさえてスパゲティ状態にならないようにしたい。
多くの人が集まる撮影地では、他の人の使う減光対策がされていないノートPCが眩しくて光環境を悪くしていると常々思っているので、せめて自分のシステムでは気を配りたいという思いが強いです。
機器構成
ハードウェア
- 電源 --- モバイルバッテリー (10000mAh 2台: PC用と Wi-Fiルータ+赤道儀用)
- PC --- Intel Compute Stick STCK1A8LFC (Atom Z3735F / 1GB memory / 8GB eMMC)
- HDMIダミーアダプタ & メス・メス中継アダプタ
- Wi-Fiルータ --- Elecom WRH-300BK3
- オートガイダー(CCDカメラ) --- QHY 5L-II-M
- ガイドレンズ --- Kowa LM75JC
- 赤道儀 --- Unitec SWAT-300 (輸出モデル) / Kenko Skymemo S
- 操作用スマートフォン
費用は赤道儀やスマートフォンを除くと、QHY 5L-II-Mと Kowa LM75JCがセットで 50,000円強、Stick PCが 6,000円(ケタ間違ってませんよ(笑))、Wi-Fiルータが 3,000円、HDMIアダプタが 2,000円(なんだかなあ)、10,000mAHのモバイルバッテリーが2個で 4,500円で、〆て 65,000円ほどでした。
ソフトウェア
- OS --- Lubuntu 16.04LTS (x64)に入れ替え
- ガイドソフト --- INDI server(qhy_ccd) + PHD2 guiding
- リモート操作(Stick PC側) --- xrdp
- リモート操作(スマートフォン側) --- Microsoft RDPクライアント
ソフトウェアはすべて無償で入手できます。作者の方々に感謝。