鏡筒と主鏡セルの製作

鏡筒は四角の開放筒で、30×30mmで 3mm厚の鉄 L字アングルと 3mm厚の帯鉄を 1/4 UNCのボルト止めで作りました。

セルは 8mm厚のアルミ板で、鏡を支える枠はアルミ板を 3枚切り出して鏡面の外周に合うようハンマーで強引に曲げ、ヤスリで仕上げて底板にボルト止めして作りました。
底板の中央は丸くくり抜いていますが、これはボール盤で円周に沿って穴をあけてタガネで抜いてヤスリで仕上げています。

鏡筒の後端には L字アングルとアルミ板で底を作り、アルミ板に押ネジ 4本のタップと引きネジ 4本のバカ穴をあけて光軸調整できるようにしました。

ダウエルのスパイダーは丸筒用の 3本脚だったので(脚の数は 3本のまま) 角筒用に改造して取り付けました。
接眼筒もダウエル製です。
そう考えてみると、ダウエルのパーツ類がなければ自作はできなかったと思います。
当時からダウエルは品質などについていろいろと言われていましたが、それでもお金のない中高生(今の子たちと違って本当にお金はなかった)にとってはありがたい存在でした。

とまあ、そういう構成なので大変に重い鏡筒です。
せめてアルミアングルで作っておけばよかったと気づくのは、完成してまだ観測小屋がないころ、観測のたびに鏡筒を部屋から運び出してベランダに置いてあった赤道儀に組み上げることになってからのことでした。 ^^;;

材料の調達は父の伝手で関連業者さんから分けてもらい、ボール盤は日曜日に父の勤務先の工場の作業場にお邪魔して使わせてもらいました。
今では平社員の子どもが数百人規模の工場に立ち入って設備を借りて工作するなんてとても考えられない事ですが、当時(1970年代半ば)はとてもおおらかでした。
逆に今のようにホームセンターはなかったので、もし父がそういう職場に勤めていなかったらおそらく自作することはできなかったでしょう。

そういう意味で、自作するのにいい環境にいられたことがとても幸運でした。