鏡面の自作

今と違って昔は完成品の主鏡は完成品の望遠鏡以上に高価だったので、お金のない高校生にとっては自作しか選択肢はありませんでした。

高校の地学部の仲間が中学生時代に15cm鏡面を自作した、ということを聞いたので指導を乞いました。
鏡面製作のバイブルと言ってもいい、木辺成麿さんの著書「反射望遠鏡の作り方」と星野次郎さんの著書の「反射望遠鏡の作り方」を読んで予習し、実際に作業をやってみるというやり方です。

材料は、天文ガイドの広告で見つけたパイレックスの鏡材(有楽町ビルジングに入っていた(株)光洋という会社に買いに行ったような記憶があります)と成東商会(ダウエルで有名)の青板(盤用) ガラスと研磨材キット(アランダム、カーボランダム、紅ガラ、ピッチ、松ヤニの入ったもの)で通販で入手できました。たしか当時の値段で合わせて 15,000円くらいだったと思います。

副鏡は、平面の研磨やテストが難しい事と、主鏡ほど高価ではなかったので、成東商会の短径31mmの 3本脚スパイダー付きのものを購入しました。こちらは 4000円くらいだったような...

部活の時間に砂ズリから始め、濡れた状態で太陽で焦点距離を測りながら細かい砂で仕上げていき、ピッチ盤作りを経て磨きまで進めました。
ピッチと松ヤニを煮る時のあの臭いは強烈で今でも思い出します。
またピッチ盤作りはとても難しく、2回ほど失敗してようやくできた記憶があります。
ハンドルは小学生の時に使っていた古いバットのグリップエンドを切って使いました。
その後、砂目が取れるまでの磨きはやったのですが、最終局面の整形はその友人にお願いしました。
なので、自作鏡とはいっても正確にはその友人の鏡というのが正しいと思います。

メッキはどこに頼んだのか忘れてしまいました。
その後、2回ほど再メッキをしていますが、1回目はたしか MIZARで、2回目は中央光学でやってもらいました。