到着

フライトはいたって快適で大きな揺れもなく、シドニー空港に着いたのは予定どおり 12日の朝ほぼ定刻でした。
シドニー空港での入国手続きなどは電子化されていて、ICパスポートの顔写真のあるページを読み取り機にかざして出てくるチケットを持ち、その先にあるゲートにそれを入れて顔認証でパスすれば審査完了です。
昔は審査官との対話待ちの行列に並んだものですがとてもスムーズで驚きました。
その後、預け荷物を受け取って入国カード(機内で配られたものに記入)とチケットを検疫検査官に渡してパスすれば終わりです。
オーストラリアの検疫はとても厳しいという知識しかなかったのであっけなくてびっくりしました。

さて、当初の予定では、ここで、先発隊の3人(Mさんと Szさんご夫妻)と主力隊の 2人(Oさんと Skさん)、そして私たち後発隊 3人(Hさん、Stさん、私)が合流して、レンタカー2台に分乗してクーナバラブランに向かうはずでした。

後発隊は現地で使える SIMを持っていないので、空港に到着した時点で先発隊にメイルで連絡して合流することにしていたのですが、空港の WiFiがつかまえられなくて連絡がつかずモタモタしていたところ、先発隊の Mさん、Szさんが時間を見計らって空港まできてくださっていました。(モタつくのは先刻お見通し)

一方、主力隊の Oさんと Skさんは前日に判明した飛行機のトラブル(& 代替便の手配不可)でこの日の到着が絶望的になっていたので、6人で 2台に分乗してクーナバラブランに向かうことになったのですが、Mさん、Szさんは海外生活のご経験が豊富で英語もご堪能だったのでレンタカーの手配などもテキパキと進めてくださいました。

レンタカーにはカーナビがついていたのですが、操作がよくわからないままに、とにかくクーナバラブランまでは 500kmほどあるので時間を惜しんで運転開始です。

私は市内の運転には自信がなかったのでまずは助手席に。
しかしこの判断は間違いで、そもそもまったく土地勘がないし、クルマにはカーナビはついていたのですが操作でモタモタしているうちに曲がるべき道を見落として道を間違えてしまいました。 :-(

なんか変だぞということでしばしうろうろした後、ガソリンスタンドに隣接した Red Roosterという看板が見えたので立ち寄り、ついでに少し早めの昼食をとりながら作戦会議。
# ちなみに今、Google Mapsでシドニー空港からクーナバラブランへのルートを探すと、M5→M7→M4→A32→B55→A39というルート(5時間52分!)が表示されます。
# 立ち寄ったのは Red Rooster Lakembaという A34沿いのお店だったのかも。自信ありませんが。

結局、先発隊が前日宿泊していたブルーマウンテンズ方面に向かえばいいということがわかって目的地に向かうことができました。ちなみに帰りにはこの反省を活かして、シドニー市内はナビを Mさんにお願いしたので、スムーズに乗り切れました。
ちなみに運転自体は、右ハンドル/左側通行で速度表示も km/h単位なので日本での運転との違いはほとんどなく、まったく違和感はありませんでした。

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ところで、オーストラリアの道路は、シドニーのような大きな都会を除くと、市街地を抜けるとすぐに一般道でも制限速度は 100km/hになります。見渡す限りの平原で民家もほとんどなく、信号など一切ないので巡航速度は 110km/hくらいでずーっと走るわけですが、路肩には恐ろしいほどの数のカンガルー、コアラ、ウサギなどの死体が転がっていて、申し訳ない気持ちになりました。
 昼間だと野生動物の姿はほとんど見かけないので、おそらく夕暮れから明け方にかけての事故なのだろうと思います。
日本と違って、道の両脇は幅広く刈りはらわれているので、道路脇の草むらからいきなり飛び出される心配はないのですが、道路沿いには電柱はおろか街灯なんて皆無なので、できるだけ夜は運転しないで済ませられるにこした事はないと思いました。

ミルロイ天文台到着

クーナバラブランの宿に着いたのは日没の15分後くらいで夕焼けの時間帯でした。
お天気は快晴で雲一つなく、夕焼けが赤くならないので透明度が高いことがすぐにわかります。(昼間の青空をみた時点で低空によどみがない事はわかっていましたが。)

まだまだ薄明で明るい空に金星、木星、土星、火星のお出迎え。
火星がまぶしいねーなんていう話をしているうちに、南の空に妙に明るい星々が見え始めます。
人生初の α & βCen、みなみじゅうじの星々です!!

さらに、暗くなるにつれて天の川がどんどん存在感を増していきます。
もうこの時点で、空の暗さがただものじゃないことがわかります。

ただ管理人さんと連絡が取れないとカギがなくて宿には入れません。
宿の周囲は電波があまり良くなかったのでミルロイ天文台に移動してみます。

天文台も電波はそれほどよくなくて、Szさんと宿の管理人との連絡がなかなか取れなかったのですが、それもなんとかつながり、管理人さんが来てくれるまでの間、寒さも忘れて空を眺めていました。

そのうち、西の空、金星のやや南に、何やら不思議なものが見えました。
最初は、細い月に雲でもかかったような感じで見えたのですが、雲はありません。なので、彗星かとも思ったのですが、非常にゆっくりと、徐々に高度を上げています。
また、だんだん拡散していて、三方向に尾のように分かれているのもわかり、まるでエータカリーナ星雲のようだね、なんて話をしていたのですが、どんどん大きくなって、天の川の方に向かっていきました。

Szさん、Mさんがあれこれ連絡に苦労なさっていた中で機材を出すのは憚られて写真を撮ることはできませんでした。その後、街のスーパーマーケットが閉まってしまう前に買い物をしなくては、という話になってドタバタとしていたので、最終的にどうなったのかを見届けることもできませんでしたが、前に Mars Explorerが軌道変更でアポジモータを噴射した時の目撃体験からいうとよく似た雰囲気だったので、おそらくそれに類する現象だったのではないかと思います。

そうこうしているうちに管理人さんが到着、カギを受け取って宿に荷物を置き、街で買い出しを済ませ、中華レストランで食事をして宿に戻ると、宿の明かりが外に漏れている状態でも、真っ黒な空にものすごい天の川が浮かんでいます。まさに「エッジオン天の川銀河」です。 8-)
皆でしばし見とれた後、Mさん、Szさんご夫妻、Stさんは反省会モードに突入。(笑)
私と Hさんはとてもじっとしておれずに撮影モードに突入です。

といっても、まずは極軸合わせの練習をしなくては、ということで、本来予定していた撮影場所のミルロイ天文台までは移動せず、宿の前の暗がりで機材を展開しました。

やってみると、心配していたとおり、例のはちぶんぎ座の台形が見つけられません。 ^^;
あーでもない、こーでもない、と苦しんだあげく、なんとか小マゼラン雲からたどる形で見つけ出して撮影を開始しました。

すでにみなみじゅうじは沈みかけていたので先のお楽しみにとっておくことにし、日本ではなかなかきれいに撮れない、さそりのしっぽ付近の望遠モザイクの素材撮り。その後、大小マゼラン雲を撮りました。

大マゼランがそこそこの高度になるころ、東の空にシリウスのような明るい星が昇ってきました。
カノープスです!!!
情報としては、カノープスは白いということは知ってはいましたが、実際に見ると本当に白い明るい星です。

また、やや遅れてその北からも明るい青白い星が昇ってきました。リゲルです。
もう、星座の方向感覚がめちゃくちゃ。(笑)

その頃になると、これまでの移動の疲れがピークになってきて、このまま薄明開始までは粘れないと思い撤収しました。

いよいよ昼夜逆転の星三昧生活の始まりです。

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