斜鏡の大型化

斜鏡は眼視用に製作した当初から短径 38mmのものを使用していました。
眼視用であれば特に問題ない大きさだったのですが、写真用に使っていると周辺減光が非常に大きく、明らかにサイズ不足であることがわかってきました。
特に、淡い天体を撮影するようになると画像処理も強めの強調をするようになり、結果的に周辺減光が非常に目立つようになってきます。(もちろんフラット補正はするのですが限度があります。)

そこで、2013年11月に短径50mmのものに交換しました。
計算上は 45mmくらいでもよかったのですが、斜鏡を大きくすると斜鏡セルも大型になりスパイダーの剛性もあげなくてはいけません。
斜鏡周辺のパーツを自作してみて剛性と精度を両立させるのはけっこう難しいと感じていたので、セットものでいいものがないかいろいろと漁っていると、笠井トレーディングで 50mmとセルと 4本脚スパイダーの 3点セットがあったので購入しました。

セルが大きく(長く)なると、スパイダー脚の位置変更も必要になります。
元々スパイダーは筒先より前に飛び出す形だったのですが、その量は最低限に抑えたかったので、合焦部の位置を主鏡寄りに移動することで差分を吸収しました。結果として筒外焦点引き出し量が多めになるので本当はより大きな斜鏡が必要になってしまうため、セルを切り詰めるとか短い斜鏡セルを自作するなどで対応すべきだったのですが、精度ののいいものを作るのは難しかったので妥協しました。

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それでも効果はてきめんで、それまで大変苦労していたフラット補正がごく軽い補正で済むようになり、従来は写らなかった周辺の微光星がたくさん写るようになりました。

遮蔽率の大幅増(31%→40%)による心配していた像の悪化もなく、 むしろ(スパイダーの剛性アップのおかげで)光軸修正が精密に行えるようになったせいかシャープになったようにも感じられました。(ε130などは遮蔽率が 50%に迫っているのだから、意外と大丈夫なものなのかもしれないのですが) こんな事ならもっと早く着手すべきでした。